人通りもまばらな早朝の台北の下町、迪化街。なんだか好きな人が来るのをドキドキしながら待ってる高校生みたいだなぁ、そんな事をぼんやりと考えながら今日の主役の登場を待っていると、ふいに背後から爽やかな声が聞こえてきました。
こんにちは。どうぞどうぞ、中にお入りください!
颯爽と現れた笑顔の素敵な女性が、今回のインタビューの主役、青木由香さんです。
台湾に移り住んで十数年。日本と台湾の架け橋として幅広く活躍中の青木さんの第一印象は爽やかで情熱的。元気いっぱいの青木さんの影響かインタビューが終わる頃には、こちらまで明るく楽しい気持ちになっていました。そんな青木さんが経営するお店你好我好(ニーハオウォーハオ)にお邪魔して、台湾のこと、お仕事や旅のこと、たくさんお話を伺ってきました。
今までたくさんの国へ行かれたそうですね。旅のエピソードを聞かせてください!
インドやベトナム、インドネシア、トルコ、デンマーク、カンボジアなど、色々な国に行きました。ほとんどの場合、まずタイのバンコクまで行って目的地までの安いチケットを買っていました。二十年以上前のタイには、世界中からバックパッカーが集まっていたんです。どこの国が良かったとか、そういう旅の情報は全部彼らから聞いていましたね。当時はカンボジアの内戦が終わったばかりだったんですが、覚悟を決めて現地に行ってみると戦車がまだ街の中をたくさん走っていた!なんてこともありました。
どうしてそんなに旅行が好きなんですか?
見たことも聞いたことも、食べたこともないもの。全部、自分で体験してこそ初めて分かると思うんです。テレビや本の中で繰り広げられる出来事をただ眺めてるだけじゃ面白くないでしょう?やっぱり実際に行って体験してみなきゃ!現地の言葉が分からなくても、ニコニコ笑顔でいれば熱意はきっと伝わると思います。
台湾に住もうと決めたのは、どうしてですか?
私が旅をしてた二十数年前は、日本の景気がまだ良かったので、海外に行くと日本人を騙そうとする人もけっこういました。でも台湾ではそんなことは少しも感じませんでした。外国人に対して興味津々で、日本語が話せなくても一生懸命話しかけてくれたり。台湾の人たちは人懐っこくて、今までに訪れた他の国とは印象が全然違ったんです。
そういえば、こんなこともありました。レストランに行った時、となりのテーブルの料理があまりにも美味しそうだったので、ついつい「美味しそう!」と声に出してしまったんです。すると、となりのテーブルの知らない人たちが一緒に食べませんか?と誘ってくれたんですよ!(笑)
♥ 青木由香さんのお気に入り
台湾のことをもっと知りたいんです。現地の台湾人が作った旅行雑誌なら絶対面白いはず!
本の執筆、ラジオ番組のDJなど。さまざまな顔をお持ちですが、現在のお仕事を始めたきっかけを教えてください。
台湾が大好きだったので、今後もし台湾と関係のない生活を送ることになったら悲しいなと思っていたんです。だから台湾で足裏マッサージの勉強をしながら日本を行き来していた頃、「台湾のことを日本に紹介したいんです!」と日本の出版社に売り込みをしていました。でも、当時は全く興味を持ってもらえませんでした。
台湾で出版した本がベストセラーになって、やっと日本の出版社からも声をかけてもらえるようになりました。ラジオ番組のパーソナリティの仕事は、この5年間の仕事です。自宅で録音をした後に、日本のラジオ局のディレクターに送って編集してもらっています。
とても忙しそうですが、一日のスケジュールは?
朝は、夫と子どもに朝食を食べさせて、掃除と洗濯をする主婦の時間。11時ごろに家事を一通り終わられせたら、今度は気分を切り替えて本を書く時間。お昼は、大体いつも適当に食べています。午後は、お店に顔を出して夕方になったら子どもを迎えに行く準備をして。子どもが寝た後は、また書き物をする時間です。原稿が溜まっている時には、夜中の3、4時まで起きていることもありますね。次の日の朝は、6時半に起きています。
インスピレーションが湧かない時は、どうしているんですか?
書くのを中断して遊びに行きます。他のことで気分転換をして、インスピレーションが湧いたらまた書き始めます。仕事を通じて出会う様々な分野の人たちから、いつも新しい考え方を学んでいます。たくさんの仕事をして得た最大の収穫は、何と言っても人との出会いだと思っています。
♥ 青木由香さんのお気に入り
最近この色の陶器がお気に入りです。和菓子を盛り付けても素敵ですね。
你好我好の店内では、羊毛フェルトを使った作品で人気の上手下手のイベントを現在開催中ですが、お気に入りの作品はありますか?
雞蛋糕(ジーダンガオ)です!最近は丸いのばっかりで、動物型の雞蛋糕は、なかなか見つからないんですよ。日本はもうすぐゴールデンウィークだから、たくさんの人が台湾に旅行に来ると思うんです。そのとき、この昔懐かしい動物型の雞蛋糕を日本のみなさんにも紹介できたらいいなと思っています。
※雞蛋糕(ジーダンガオ):台湾風の人形焼。味はプレーンからカスタードやチョコなどの餡入りまで様々。夜市や路上の屋台で売っている素朴なおやつ。
さっぱり明るい性格の青木さん。なにか信念のようなものはあるのでしょうか?
どんなことも真面目に一生懸命取り組みます。でもある程度やりきったら、ずっと同じところに留まらないで別のことを始めます。一言で表すならば、「逃げ足が速い」!全力疾走してまだ誰も成し遂げたことがないことをする唯一無二の人になりたいと思っています。
青木さんが考える理想の暮らしとは?
よく食べて、よく寝る!全部自分の好きなものに囲まれた暮らし。お金をかけなくてもいいから、いつも好きなものに囲まれていたいですね。
作品展示期間 : 4/1(金)~ 5/15(日)
WORK SHOP : 4/30(土)・5/3(火)